2021/11/10 19:33

「特定名称酒」として純米酒や吟醸酒、本醸造酒というお酒があるのですが、その違いを知りたいというお便りがありました。


戦中、戦後には「特級酒」「一級酒」「二級酒」の3種類のお酒のランク付けがありました。

これを級別制度といいます。(前回の記事を見るhttps://shop.kayamasyuzou.com/blog/2021/11/05/091900

各等級に合う原材料の品種や精米歩合、発酵期間、成分値などの違いでランク付けし、「特級酒」「一級酒」は税務署に申告して監査を受けていました。

そこでは酒独特の味や風味が加味されなかったので、各メーカーでは独自に「特撰」(特級酒クラス)「上撰」(一級酒クラス)「佳撰」(二級酒クラス)という名称を付けて売り出しました。

そこで国税庁は1990(平成2)に「特定名称酒」制度を設け、特定名称酒に純米酒として「純米大吟醸酒」「純米吟醸酒」「特別純米酒」「純米酒」、吟醸酒には「大吟醸酒」「吟醸酒」、本醸造酒には「特別本醸造酒」「本醸造酒」の8種類を規定し、名称と原料、精米歩合、香味や色沢を取り入れることになりました。

酒種を知り自分の味覚に合わせることで、より美味しい自分の酒に巡り合えるのが特定名称酒です。

特にお酒は「國酒」として国の予算が組まれているので、特定名称酒では日本が外国に誇るためにも厳しい規則が付いています。

吟醸酒

精米歩合60%以下に精米した米、米麹、水や醸造アルコールを原料に、吟醸造りという製法で造られていること」「固有の香味と色沢が良好であること」が条件です。
まず原料のなかに醸造アルコールが入っていますが、年配の方は三倍増醸清酒や工業用アルコールを使った昔を思い浮かばれる方がいますが、今日の醸造アルコールはサトウキビを原料材にした高濃度のアルコールで、日本酒に添加することにより辛口でクリアーな味わいを整えます。

精米歩合の60%とはお米の表面を40%削ったもので、精米歩合が高いと香りが控えめで味が濃く旨味の多いお酒になります。

精米歩合が低いと淡麗で華やかな香りのお酒になります。お米は中心部に行くほど雑味が少なくなります。

手間をかけて磨いたお米を、低温でじっくり発酵させる製法を「吟醸造り」と呼びます。
吟醸酒は、華やかなでフルーティーな香りと、スッキリとした飲み口が特徴です。
大吟醸酒は50%以下の精米歩合ですが吟醸酒よりもたくさん磨くので「大」が付いています。

純米酒

純米酒は、「米や米麹、および水を原料にして造られた日本酒」のことで、製造工程のなかで醸造アルコールが一切添加されていないお酒で、米だけで造られたお酒です。
純米酒はお米の味わいが感じられ、ふくよかな感じが特徴です。
純米酒には「純米酒」「純米吟醸酒」「純米大吟醸酒」「特別純米酒」などがありますが、それぞれ精米歩合や香味などの条件が異なっています。

本醸造酒

本醸造酒は、「精米歩合70%以下の米や米麹、および醸造アルコールや水を原料にして造った日本酒」「香味や色沢が良好のもの」で、添加できる醸造アルコールの量は、使用する米の重量10%までと決められています。
本醸造酒は、吟醸酒よりも全般的に香りが抑えられ、シンプルな味わいになります。
また、精米歩合が60%以下、もしくは特別な醸造方法の場合は、「特別本醸造酒」に分類されます。


市場に出回っているお酒は70%が普通酒ですが、ご自分の個性に合わせたお酒の個性を楽しむのも酒飲みの楽しみの一つかもしれません。
ご自分の好みの日本酒がどの特定名称にあるのか、ラベルの呼称や、精米歩合、原料に目を配ってみて下さい。

日本酒の酒飲みに乾杯!!