2022/11/21 11:02

<麹と酵素のすごいところ>


甘酒に含まれる麹菌と酵素について、今回はご紹介いたします!

甘酒を作る上で大切なのが麹です。

麹にはお米を糖化させるデンプンや、タンパク質を分解する様々な酵素が含まれています。

この酵素の力でブドウ糖やアミノ酸が造られます。

米麹甘酒は「飲む点滴」と言われるのは、この即刻性が関わっています。



お米・デンプンは口に入ると唾液に含まれるアミラーゼという消化酵素で

麦芽糖(ばくがとう・マルトース)に分解されます。

アミラーゼは膵液にも含まれていて、

唾液で麦芽糖になり切れないものは十二指腸で膵液により完全な麦芽糖になり、

小腸でマルターゼという消化酵素によってブドウ糖に分解されます。

胃にはデンプンの消化酵素はありません。



お米に含まれるデンプンはブドウ糖(グルコース)が長く繋がった高分子化合物で、

そのままでは栄養物として吸収されません。

デンプンは多糖類です。

この高分子(多糖類)の鎖を切るのが消化酵素で、

その結果単糖のブドウ糖ができるのです。



ブドウ糖が結合したものが「オリゴ糖」です。

ヒトの母乳中に含まれるオリゴ糖は感染防御の役割があり、

腸内細菌のビフィズス菌増殖因子でもあります。



このような消化過程をお肉やお魚のタンパク質で見てみると、

まず胃で胃液の消化酵素(ペプシン)によって立体化合物から鎖状のポリペプチドになり、

十二指腸で膵臓からの消化酵素(トリプシン)でジペプチドなどに分解され

小腸での消化酵素(ペプチターゼ)でアミノ酸として吸収され肝臓に運ばれます。


アミノ酸はそこから各組織に運ばれDNAの情報に従って筋肉や皮膚、

爪などのタンパク質に組み替えられて体を作ります。

脂肪に関しては、脂肪分解酵素(リパーゼ)が膵臓から出ていて脂肪酸になります。

胆汁は消化酵素を含みませんが脂肪の消化を助ける役割を持っています。



食事をした際の体の中での消化の流れをお話ししましたが、

ヒトは食べ物が栄養素となり消化されるまでには時間がかかります。

お米の消化時間、消化してブドウ糖として吸収される時間を合わせると、

食べてから排泄されるまでには、個人差はありますが24時間から72時間かかるといわれています。



ところで、麹菌は微生物の働きで栄養価の高い甘酒が造られますが、

微生物の存在は17世紀オランダのレーウェンフックが顕微鏡を発明したことで明らかにされ、
19世紀のパスツ
ールがこの微生物による発酵でビールやワインが造られることを見つけ出しました。

もっとも、この発明や発見以前の古くからご先祖様はお酒や甘酒を造っていました。

このような先祖からの生活に根差した菌の「智慧」を、

科学は後追いして検証しているといっても過言ではありません。



日本ではこのような麹菌の「智慧」で、お酒や甘酒だけでなく

味噌や醤油、漬物、酢など多くの発酵食品を産み出して来たのです。

米麹甘酒は栄養価の高い先祖からの贈り物として今日まで

麹菌の「智慧」を受け継いでいます。

ぜひ、ご家族皆さんで本格的な「米麹甘酒あまま」をお楽しみください。