2022/10/12 17:52

麹菌について知っていますか



私たちはお酒や甘酒を造るのに米麹が必要なことは知っていますが、じつはこの菌や麹に関してあまり知っているとは思えないのです。


一度よく知ったうえで、お酒や甘酒のすごさを実感してみましょう。



麹菌とは、麹(糀、こうじ)を作るための糸状菌でカビの一種です。


日本をはじめ湿度の高い東アジアや東南アジアにしか生息していないのです。


日本の麹菌は「コウジカビ」といい、


中国や台湾、朝鮮半島などに生息する「クモノスカビ」とは異なり、


日本独自のカビなのです。正式には「ニホンコウジカビ」と呼びます。



「ニホンコウジカビ」は2006年、日本醸造学会が「われわれの先達が古来大切に育み、


使ってきた貴重な財産」として日本国の「国菌」に認定しました。



麹菌によって造られてきた味噌や醤油そしてお酒などは、


このように日本独自のコウジカビで古来造られてきたことを私たちは知らず、


あまり考えもしないで口に運んでいたのです。



この「ニホンコウジカビ」からは、


1894年に高峰譲吉博士が「ニホンコウジカビ」に由来する


デンプン分解酵素「タカジアスターゼ」の特許を米国で取得し、


1895年に胃腸消化薬として世界初の酵素を利用した医薬品となりました。




現在、遺伝子組み換え技術が進み、


他の生物の遺伝子に麹菌を組み込んで酵素やタンパク質を作ることも可能になりました。


洗濯洗剤に使われているアルカリ・リパーゼという酵素も元々カビから造られた酵素です。




麹菌は他の菌に比べ生育が遅く、雑菌が混入すると勢いのある他の菌に負けてしまうので


自然発生での発育が難しいため、穀物を一度蒸して殺菌してから純粋培養した麹菌を加える必要があります。




酒造りで一度お米を蒸した後に麹菌を培養するのはそのような理由によります。


麹菌は米、麦、大豆などに加えて培養させた「麹」にするため米麹、麦麹、大豆麹としてできる麹の


種類が変わることとになります。


例えば大豆と麹と塩で造る味噌、蒸大豆に米麹と塩で米味噌、米麹の代わりに麦麹を使うと麦味噌、


大豆麹では豆味噌となります。




麹菌は大きく5つに分類されます。


  1. 黄麹菌。黄色い麹菌でショウユコウジカビとも呼ばれます。「味噌」「醤油」「清酒」の原料。

  2. 白麹菌。「焼酎」の原料です。

  3. 黒麹菌。アワモリコウジカビとも呼ばれ、「泡盛」の原料。

  4. 紅麹菌。「豆腐よう」「紅酒」「老酒」の原料。※豆腐よう/豆腐を使った沖縄独特の発酵食品。

  5. カツオブシ菌。「鰹節」の原料。


「国の菌」となっているコウジカビですが、その働きを確認しておきましょう。


  1. 食材の旨味を引き立たせ、食感を柔らかくする。

 
 麹菌はタンパク質をアミノ酸に分解する「プロテアーゼ」、


 でんぷんを糖に分解する「アミラーゼ」、脂質を分解する「リパーゼ」を


 はじめとして酵素の働きで素材を柔らかくして発酵食品の旨味や甘みを引き出 します。


 最近では腸活から菌活も流行り出し、納豆やヨーグルトだけでなく甘酒や

  

 麹水も案内されています。




  1. 美容にうれしい美肌美髪、ダイエット効果。 


 ビタミンB2やB6、ナイアシン等ビタミンB群がタンパク質の代謝を助け、


 肌の老廃物を取りのぞき、若々しく健康的な肌や髪を作ります。


 麹には脂肪を分解するリパーゼと消化を助け血糖値を上げるブドウ糖が含ま 

 

 れ、ダイエット効果が期待できます。




  1. 健康にうれしい免疫向上や便秘予防効果があります。


オリゴ糖は腸内の善玉菌を増やし腸内環境の改善を図り、免疫細胞が刺激さ


れることで免疫力がアップします。 


麹にはカリウム、カルシュウム、マグネシュウム、亜鉛、セレンなどのミネラル成分が


多く含まれるため、血圧を下げ、骨粗鬆症の予防も期待できます。


抗がん作用、抗炎症作用も期待できるといわれています。


 消化酵素により糖質や脂質の分解が促進されると、血糖値やコレステロール値、

 

 中性脂肪値を抑制する効果があり、そのため糖尿病や動脈硬化の予防に役立つといわれます。



 コウジキンと麹で色々な食材が作られてきたことが分かります。


米麹で造られる日本の発酵食材と日本酒ですが、麹菌の働きがご理解いただけたでしょうか。


そして、古来日本人の健康に奉仕して来た米麹甘酒、「あまま」を安心してご賞味下さい!