2022/09/02 14:19

國酒ってどこのメーカー?と聞かれました。聞きなれないメーカーです。
1972年、日中国交正常化の晩さん会で、時の首相田中角栄に新潟のお酒が出され、ホストの周恩来首相は白酒(バイチュウ)で乾杯しました。
この時、参加していた大平正芳外務大臣が深く感激し、首相に就任した時、国を代表するお酒として焼酎と日本酒を「國酒」という呼び方で提案したのです。
2013年にユネスコ無形文化遺産に「和食、日本人の伝統的な食文化」が登録され、和食に会う飲み物のとして日本酒がブームになりました。

世界中で日本酒が人気を得て広がりましたが、「國酒」はなかなかなじまれていません。
一つは國という字が難しいことと、海外では「日本酒」よりも「SAKE」で通用するからです。
その上、「焼酎、日本酒」を「國酒」にするといっても、中身・定義があいまいです。
現在では海外でも日本酒は作られていますが、それは日本での日本酒とは別の扱いです。
日本酒といっても酒税法上厳密には清酒です。そして日本酒の表示は地理的表示保護法により日本国内において製造された清酒のみに認められているのです。

したがって日本国外で製造された清酒は「日本酒」と呼ぶことができないのです。
確かに日本では日本酒に使う水は海外とは違い厳しく指定されています。そして米質からチェックして造る過程も厳密に規定されています。外国で作る「日本酒」とは大きく違うのです。
精米歩合、米の蒸し、麹造り、酒母造り、醪と搾りと日本酒・清酒は厳しい管理の中で作られます。その上一般に流通している普通酒と特定名称酒(本醸造酒、純米酒、吟醸酒などの区別)との違い、味や香りの細部にわたる品評など日本独自の日本酒に対する位置づけがあります。

したがって海外で作られる「日本酒」と日本で作られる「日本酒」は違うのですが、それでも海外の酒造・メーカーもその品質を高めるとともに、日本産と競合しながら日本食文化に寄与してくれていることは確かです。
ちなみに、海外ではアメリカ、カナダ、イギリス、スペイン、ノルウエーなどで製造されていて、ブラジルでは6社、中華人民共和国では5社が日本酒を造っています。

日本酒は人気があるのです。
1972年の乾杯の時、大平外相が感じたのは「わが国には伝統ある日本酒があるのに、公式晩さん会はフランス料理にワインで乾杯している。」わが国では日本酒で、という思いが「國酒」の出発でした。
海外での日本酒生産も、その国に合わせたブランドもあり多様な日本酒を産み出しています。多様な日本酒が世界の愛好家の喉を潤している現実も大事です。
私たちが地方に行って地酒を愛ずる気持ちに通じるものがあるようです。

日本には古来酒と付き合い、酒を祀る文化がありました。
日本では酒にまつわる神社は40社以上あり、55以上の神が奉られています。
大神神社(奈良市)、松尾神社(京都市)、御酒殿神(三重県伊勢市)、菩提山正暦寺(奈良市)などで、これらの神社仏閣は千葉市から福岡県の間にだけあるということは、興味のあることです。
日本酒の好きな外人が多く日本に来日しています。そんな外人とお酒の話をするとき、日本酒の知識と自信をもって日本酒を薦めてください。
それが「國酒」の精神なのかも知れません。

そんな時、日本酒造りの醪(もろみ)の詰まったノンアルコール健康飲料「米麹あまま」も発酵-麹文化のたまものとしてお勧めください。世界の健康飲料です。