2022/08/08 14:08

お盆が来ます。
旧暦の7月15日がお盆ですが、季節に合わせ新暦の8月15日を軸に組まれている地方、企業が多いようです。
8月13日迎え盆、8月15日盆中日、8月16日送り盆が一般的です。この4日間が盆休みとなりますが、企業において11日の山の日の祝日から休ませる6連休の会社や、8日から10日も入れて6日(土)から16日までの11日間の休みをくれる会社もあります。

お盆休み、どのように過ごしますか。
空いた時間をゲームや観光も良いのでしょうが年に一度の機会に、帰れる人は故郷や実家にお酒をもっての里帰りも意義があるかもしれません。
もっともコロナ過第7波で、未だふる里に帰れない人も多いかもしれません。

祭事ではお酒が好まれます。
日本人は紀元前1000年前から(現代の研究ではそのもっと前から)稲作で生計を立てていました。
そしてその傍ら酒造りが行われていました。
祭事にお酒が飲まれるのは、稲を植える前に田んぼの神様を迎えて豊穣を祈願し、収穫の後は神への感謝を捧げる祭事にお酒が供え物として供えられる習慣が、実は現代まで続いているのです。

お盆にご先祖様が帰って来る機会を、穢れを寄せ付けないとされるお酒で迎え供えるのは「送り酒」と呼ばれる風習にあり、これは初詣や結婚式その他地鎮祭でも神事として神に捧げるためのお酒「お神酒(おみき)」として残っています。
神様にお供えし、霊の宿ったお神酒を頂くとご利益があるというのは太古から行われていた儀式であり神事ですが、これは神仏習合・本地垂迹(ほんちすいじゃく)という日本的な背景の中で、私たちの先祖が生きてきた習わしなのです。
お神酒に使われるお酒は、本来「白黒醴清(しろくろれいせい)」と呼ばれ、白酒(しろき)はどぶろく、黒酒(くろき)は白酒に植物の枝の灰などを入れた酒、醴礼(れいしゃ)は一晩寝かせた甘酒のようなもの、清酒は「すみざけ」で日本酒のことです。

古来、大多数の日本人は農業を基本に生きてきました。それはつい100年前までの先代の姿です。
それは農業と自然の中で生きてきた先祖からのDNAに、心象風景として現代の私たちの中に生きています。
刺身にはワインやウイスキーではなく日本酒だと思ってしまう私たち、墓参りには日本酒を持っていく姿に、本来の習慣が生きていることを感じます。
お盆と墓参りとお祭りそして盆踊りに、故郷に帰ってきたという妙な実感を感じるかもしれません。

お盆には様々な行事が地方でも行われます。
400年の歴史のある徳島県の阿波踊り、同じく400年以上つづいている岐阜県群上市の郡上おどりは夜通し踊り、また秋田県西馬音内(ししもない)の盆踊りは700年の歴史を持ちます。
盆踊りは、お盆で帰ってきた先祖の霊を迎え送り供養するための踊りです。
年に一度のお盆です。懐かしいおじいちゃんおばあちゃんの事を思い出しその恩に感謝する機会はそうありません。そして今日までの私に繋げてくれたご先祖様。想像できない危険や苦労があったかもしれません。

今自分が生きている現実から、ふと祖先を思ういい機会がお盆かも知れません。
そんな時、祖先と一緒にお酒で乾杯してみませんか。
お神酒(おみき)の白酒(しろき)なら純米発泡酒かやま、醴礼(れいしゃ)ならばアルコールのないご家庭のお供、あま酒「米麹甘酒あまま」が最適です。

お盆にお酒一滴傾けながらの一句

盂蘭盆の 遠きゆかりとふし拝む         高浜虚子

親一人 子一人盆のあわれかな           夏目漱石

新盆や ひそかに草のやどす露           久保田万太郎