2022/05/18 10:33


先日NHKBSで日本の発酵文化の特集を放映していました。
日本を特徴づける企画の一つで、ヨーロッパからも驚嘆されている日本の発酵文化の紹介でした。
日本では地域ごと、その特産に基づいて様々な発酵食品があります。
特集ではそのすべてを紹介できないので、その一部ですが有名なものが紹介されていました。

・愛知県名古屋市の八丁味噌。400年の歴史を持ち、大豆の全てを麹にして造られる豆腐味噌で1年半から2年以上発酵・醸造されて作られます。中部圏のみならず全国で愛されている味噌です。
・秋田県の「しょくつる」。はたはたなど魚をすべて漬けて1年以上発酵させ液体にした上で調味料として使います。用途は広く、はたはたを使った、はたはた寿司など昔から親しまれてきたものです。
・新潟県は「かんずり」。唐辛子を雪の中で4日ほど晒して仕込み発酵させていきます。
唐辛子の味をマイルドにして頂く調味料で、日本人の口に合わせた発酵食品に仕上がっています。
・日本には6千以上の島がありますが、その一つ青ヶ島の焼酎です。火山灰で栽培されたさつま芋を黒麹と水で発酵させ、そこから焼酎を造る過程が紹介されていました。
全て時間と手間をいとわず作られる日本の発酵文化と、その上で人々の生活に根差した歴史の重さを映像で紹介していましたが、改めて先人の知恵と心意気を感じることができました。
地方それぞれの良さを生かして(地産地消と気候の利用)作られる発酵文化は、そのまま日本の文化です。

カビを使った発酵食品は東・東南アジアのみです。ヨーロッパにはチーズやヨーグルト、ワイン、ビネガーがありますが、中南米やアフリカ、オーストラリアにはありません。
気候の影響、湿度が高い地域ということです。
湿度が低いヨーロッパでは、カビを使った発酵食品はほとんどありません。
東南アジアは魚の塩漬けなどの発酵食品が多く、東アジアにある日本や中国、台湾、韓国では穀物と豆の発酵食品が非常に多いのです。
日本で発酵食品が発展した理由は、独特のカビにあります。
中国ではクモノスカビを使った発酵食品が多いのですが、日本ではコウジカビを使います。
このカビを使うのは日本だけです。このカビは國菌にも指定されていて、多種多様な日本の発酵食品の発展を支えてきたのです。日本独自の発酵文化の礎です。麹はコウジカビから造られます。

日本各地の発酵食品を見てみましょう。
・北海道。飯寿司。鮭と米麹を一緒に発酵させた熟鮓のひとつ。
・金沢。かぶら寿司。塩漬けにしたブリをカブの間に挟んで米麹と一緒に発酵させたもの。
・佐渡。ふぐの卵巣の糠漬け。猛毒のふぐの卵巣を2年以上塩を糠に漬け込むことで毒が抜く。
・水戸。納豆。蒸した大豆を納豆菌によって発酵させてつくります。
・東京。べったら漬け。塩漬けした大根を、甘酒で漬け込み発酵させます。
・香川。いかなご醤油。いかなごという魚を塩漬けにして出た魚醤の一種。秋田の「しょっつる」、能登の「いしる」と並んで日本の3大魚醤とよばれます。
・沖縄。豆腐餻。島豆腐を米麹、紅麹、泡盛によって発酵・熟成させた発酵食品です。
日本各地にはまだまだ独自の発酵食品はあります。

それでは世界の発酵食品を見てみます。
・スエーデン。シュールストレミング。塩漬けにしたニシンを缶の中で発酵させる。
・ドイツ。ザワークラウト。千切りにしたキャベツを塩漬けにしてから乳酸発酵させた漬けもの。
・イタリア。アンチョビ。イワシを塩漬けにして発酵させた後、オリーブオイルと一緒に漬けこむ。
・エチオピア。インジェラ。テフという穀物を粉にして、水で溶いて発酵させたエチオピアの主食。
・香港。臭豆腐。納豆菌と酪酸菌によって発酵させた漬け汁に豆腐を漬け込んで作ります。
・韓国。ホンオフェ。エイの身を壺に入れて発酵させた生食用の魚の発酵食品です。
・タイ。ナム・プラー。小魚を塩漬けにして発酵させた魚醤。半年から一年熟成させて作ります。
・インドネシア。テンペ。大豆をクモノスカビで発酵させる。「インドネシアの納豆」といわれます。
・カナダ。キビヤック。海鳥をアザラシのお腹の中に詰め込んで、土の中で2~3年発酵させます。
世界は発酵食品で覆われていますが、それぞれに個性があるようです。その土地柄によります。

日本の土壌に根差し、古くから生活と健康を考えて造られた発酵文化、日本文化をこれからも大事にしていきたいものです。
「米麹甘酒あまま」は、古来からの技術を今に活かした健康飲料です。ご家族でご愛飲ください。