2022/04/19 18:06

米麹甘酒は腸を整え便通に良いとされていますが、近年便通に関しての真面目な研究発表があった事をお知らせします。
米麹甘酒の効用に関しては様々な研究機関で調べられていますが、たかが甘酒といって軽んじられているのではなく、健康に関することですので、これらすべて真面目に調べられてきました。

今回紹介するのは、新潟にある大手の酒造会社が
「日本の伝統発酵食品・麹甘酒の健康機能への関与成分を明らかにする」というテーマで便通に対して調べたものです。

ここでは人臨床試験という方法で、便通頻度が1週間に2〜5日の健常な成人を22人ずつ無作為に2群に分け、「麹だけでつくった甘酒」(118g)と「プラセボ飲料」(118g)を、それぞれどちらを飲用しているか分からない状態で毎日3週間飲み続けてもらいました。
麹甘酒とプラセボ飲料の大きな違いは、麹の成分や麹菌が含まれているかいないか、というものです。
その後、どちらも飲用しない観察期間を2週間設け観察を行いました。

その結果、飲用期間中の1週目〜3週目から観察期間中の4週目までにおいて、プラセボ飲料と比較して麹甘酒を引用したグループでは1週間あたりの排便日数および排便回数が優位に改善したことが分かりました。(データーを載せられないのが残念です。)

そこで今度はどのような成分が便通に効いたのかの分析をしました。
これまで多くの研究で便通改善と腸内細菌叢との関係が報告されているため、この研究では腸内細菌叢の経時的な変化も追跡したのです。

その結果、麹甘酒を飲用したグループではプラセボを飲用したグループと比較し、飲用3週間後においてブラウティア属※が減少し、バクテロイデス属※が増加しました。麹甘酒飲用時の菌叢の変化が便通改善に寄与していたのです。
※ブラウティア属はグラム陽性菌で、一般的にヒト腸内細菌叢に存在している菌
※バクテロイデス属はグラム陰性菌で、オリゴ糖を資化する能力が報告されている

さらに、何がこうした菌叢変化をもたらすのかを考察するため、麹甘酒に含まれるオリゴ糖、グルコシルセラミド、麹菌という3つの候補成分に絞り込んで検討を重ねた結果、プラセボ飲料には含まれず、麹甘酒のみに含まれている麹菌そのものが、便通改善の機能性関与成分であるという結論になりました。今回の研究に使用した麹甘酒には118gあたり約300mgの麹菌が含まれています。
この研究成果は「麹甘酒の飲用は健常成人の便通を改善させる」という論文で「Journal of Fungi」(本部:バーゼル(スイス))に掲載されました。

発酵文化が私たちの生活や健康に果たして来た恵(めぐみ)は、現代の科学でも改めて評価されているのですが、私たちはあまり深く考えた事はないかもしれません。この機会に過去からそして先達から送られてきた贈り物に感謝しながら私たちの生活と健康に思いを至らせるのも良いかもしれません。

それでは今日もご家庭で、発酵文化の贈り物「米麹甘酒あまま」をご愛飲ください。