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2021/09/02 12:59
酒粕甘酒にはアルコールが含まれますが、伝統的な米麹甘酒にはアルコールは含まれません。
それではなぜ「酒」の字がついているのでしょうか。
実は、これには定説がないのです。
甘酒という字が使われ出したのは戦国末から江戸時代初めといわれています。400年以上も前の話です。
それまでは醴(ライ、レイ、あまざけ)の字が当てられていました。醴は今日では甘粥(あまがゆ)と呼ばれるものです。
古くは紀元3世紀末に、吉野を行幸していた応神天皇に村人が醴酒を奉り酒宴を行ったと言われています。
この儀式は現在も奈良県吉野町の浄御原神社の祭りとして続いています。
この醴酒ですが、平安中期の文献には「醴酒とは、米と糀と酒を用いた酒」と記されています。この酒は「こさけ」と言い、一夜で出来る「一夜酒」で甜酒(たむさけ)、つまり甘い酒であるとのことです。甜とは甘いという意味です。
米と糀を用いて一夜で造るのは甘粥(醴)で、これをアルコール化させるのには酵母が必要です。醴と醴酒が共に使われてきたのは共に愛飲されてきたからだと考えられます。
宮中では夏の時期、一夜で出来る甘い酒を楽しんでいて、室町時代には庶民にも夏の飲み物として親しまれていました。
ところで、大国主の妻とされ豊穣や酒造りの神様といわれる木花咲耶姫(このはなのさくやひめ)が甘い酒「天甜酒」(あまのたむさけ)を醸して祭りをしたとの故事もあり、各地の神社に祀られており、甘酒の起源の一つにもなっています。
木花咲耶姫の「木の花」が「梅の花」を指す言葉から、江戸時代では梅鉢の看板が甘酒屋の印として一夜酒「甘酒」が売られていました。
このように醴と醴酒が甘酒として江戸期には夏の飲み物の習慣の上に、健康飲料として幕府のお墨付きを得て庶民の間で広まったのです。
特に夏場にはお酒を造れなかった酒造では、米作りに米麹を使った同じ工程で造る米麹甘酒を夏場に売り出したので、酒屋が造る飲料に「酒」の字が付くことに庶民は違和感がなかったのかもしれません。
米麹甘酒はアルコールを含まないため老若男女に広く受け入れられたのでしょう。
甘酒の定義ではありませんが、甘酒の「酒」の起源がお分かりになったでしょうか。
ちなみに甘酒は江戸時代の夏の風物詩で、俳句の夏の季語です。
このように甘酒には歴史があることと、健康飲料として長く愛されてきました。
米麹甘酒あままは、これからも末永くご家庭で愛されることを願っています。