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2021/09/01 10:06
日本酒には「灘の男酒」「伏見の女酒」という言葉があります。
灘の水(宮水)で造ったお酒は発酵が早く、後味が引き締まった味になり、伏見の水(御香水)で造った酒は発酵が穏やかで、まろやかな味になります。
ヨーロッパで造られるワインは水を必要としないのですが、日本では水はお酒の重要な要素です。
日本酒の全行程は「種水」と呼ばれる仕込み水、お米を洗う水、お米を浸ける水、酵母に使う水、割水とあらゆることにお水が必要です。
また、お酒の中身はアルコールと糖分、アミノ酸等で全量の20%ですが残りの80%は水です。
酒蔵ではこのお水を大事にしています。
「名水あるところに銘酒あり。」という名言は、お酒造りに適した湧水があるかどうかですお酒の味や品質に影響するからです。
それでは灘の水(宮水)と伏見の水(御香水)では何が違うのでしょうか。水の硬度です。
水は「硬水」と「軟水」に分けられます。
良質な水はカリウムやリン、マグネシュウムの成分が必要で、反対に鉄分が多いと米の香りや風味やが失われてしまいます。
そのため醸造用水には、一般の飲料用水とは格段に違う成分の基準が厳しく定められています。
硬水」と「軟水」の違いは、水に含まれるカルシュウムとマグネシュウムの量を表す値で決められます。
WHOでは0~60mg/Lを「軟水」、60~120 mg/L未満を「中軟水」120~180mg/Ln未満は「硬水」、180mg/L以上を「高度な硬水」と分けています。
それでは灘の六甲山系を水源とした「宮水」は硬度100前後、鉄分が少なく豊かなミネラル成分を含んでいる「硬水」にかかり、辛口で「男酒」と呼ばれています。硬水は発酵が早いのです。
伏見で使われる「御香水」の硬度は80前後で「軟水」の部類に入れられています。
「軟水」ではミネラル成分が少ないため発酵がゆっくり進み、滑らかなきめ細かい味で「女酒」と呼ばれています。
このように硬度成分が多いと発酵が促進され、力強い味わいの日本酒が仕上がり、少ないと発酵が穏やかで、柔らかい味に仕上がります。
現代では水質に関係なく、醸造技術で「男酒」「女酒」を造ることが出来るようになりました。
硬度成分が広島では硬度が低く(硬度30前後)、酒造りに不向きといわれていましたが、「軟水醸造法」を編み出し軟水でも質の良い日本酒を造ることが出来ました。
新潟では雪解け水が湧水として出た水がほとんど軟水ですが、新潟のお酒が淡麗辛口といわれるのは、この水のおかげです。
「名水あるところに銘酒あり。」この格言を肝に、普段飲んでいるお酒のルーツに思いを巡らせるのも一考に値するかもしれませんね。
カヤマ酒造は千葉で摂れるお米を厳選し、名水といわれるお水を使い地産地消で頑張っています。
米麹甘酒あままもそのようにして造られた絶品です。ご家族でお楽しみください