2021/07/12 10:12


7月の大降雨の後には酷暑が控えています。

甘酒は夏の飲み物として日本では昔から親しまれていました。

江戸時代には、夏バテでビタミンが不足し脚気になる人が多くなくなる人も多かったので、

米麹から作られた甘酒はビタミン群が豊富に入っているので、江戸期の庶民の脚気を防ぐことが出来ました。飲む点滴といわれる甘酒は庶民の栄養補給源でした。


暑い日に飲む甘酒は俳句では夏の季語になっています。

神田より甘酒とどく祭りかな               北原秋櫻子

乳母の顔 浮かぶ 祭りの甘酒飲む          伊丹三樹彦


夏に飲む甘酒は夏祭りや花火に重なります。

夏祭りは神仏の礼拝に関わり、花火も鎮魂の思いを込めて始まったものです。

日本で最初に大掛かりな花火大会が行われたのは江戸中期で、当時大飢饉(享保の大飢饉)やコレラが流行していました。

鎮魂と悪病退散を祈願して、墨田川の水開きの日に水神祭が行われ、その時打ち上げられた花火が最初だといわれています。徳川吉宗の時代です。

各地で打ち上げられる花火も「鎮魂花火」といえます。

江戸時代には健康のため甘酒が好まれ、夏祭りや花火には甘酒がよく売れたそうです。

花火大会の由来を知ることも、蘊蓄のひとつですね。それと甘酒の人気も。

 

夏祭りは神社仏閣と切り離せないものですが、実は甘酒とは切っても切れない関係があるのです。

甘酒は「醴」(こさけ)といわれ3世紀の天皇に献じた記録(日本書紀)にもあるように神に献じる飲み物でした。

爾来、神社では各地で今も「甘酒祭」の伝統行事が続けられています。

埼玉県秩父市にある熊野神社では夏祭りの一環として、氏子がふんどし姿で樽に入った甘酒をかけあう「甘酒こぼし」が行われます。

日本武尊(やまとたけるのみこと)が東征を行った際、濁り酒を捧げた事が始まりといわれますが、その後疫病を流すための祭事になったそうです。

同じ秩父市の小鹿野町の八坂神社では、麦を醸した甘酒を神殿に奉納し村人・町人の無病息災を願う「間庭の甘酒祭り」もあります。

沖縄の渡名喜島の「島直し祭祀」にはサツマイモの甘酒が飲まれます。

甘酒を飲み合って豊穣を感謝する愛知県一宮の八幡神社、甘酒を奉納して酒造りの安全を祈願する京都市の梅宮神社等々、甘酒が奉られる神社・仏閣は全国にあります。

また、昔から甘酒が愛されていた証拠に東京の人形町には甘酒にまつわる「甘酒横町」があり、お茶の水には江戸時代から続く「甘酒茶屋」もあります。

 

このように昔から飲まれ愛されていた甘酒は、夏の盛りには体力を維持する健康飲料として実力を発揮してきました。

今年も三密を避け、夏祭りや花火大会が開催されるかどうかわかりませんが、オリンピックもあることです。

夏になると気分は夏祭り。夏の暑さに負けず米麹甘酒あままで元気に乗り切ってください。