2021/03/18 17:19


甘酒について調べていると、

第二次世界大戦中の1943年に日本醸造協会から「甘酒の研究」という本が出版されていた事分かりました。(第二次世界大戦。1942年から1945年まで。)

戦争が激しくなる中で、当時の人々の生活と甘酒との関係が良く分かります。

いつの時代にも、甘酒は庶民の生活を守る大事なものだったようです。

「甘酒の研究」の抄録では、

1.               市販のビン詰並に店先売り甘酒を試驗した結果、米, 米麹を原料としない,砂糖や水飴を混入したもの, 食塩添加量過多のものがあった。
まがい物も売り出されていたのですね。

2.               甘酒の製造においてて納豆菌等の侵害を受ける條件の探索では、蒸米, 飯米を混入させず, 麹で製造することと、糖化時間も558時間越えない事が安全。

ここからは、庶民の甘酒づくりへの奨励と注意が述べられています。特に納豆菌は繁殖しやすく、強力な伝搬力があります。納豆を食べたり触れたりすることを厳禁したうえで、しっかりとした麹菌での米麹甘酒の作り方を勧めています。

3.    内地米使用のものは外米に比し常にボーメ(:糖液の濃度を測る単位)及び糖分の出が良い。

ここでは、輸入米と国産日本米の比較を行っています。日本米の糖度、甘みも高いことが分かります。

4.外米は二度蒸し (蒸米麹共) して使用するが良い。
甘酒はお米を蒸して造ります。日本米(ジャパニカ米)は粒が短頭で粘り気があります。お米にはジャポニカ米に似たジヤバニカ米(ジャワ米)とインデカ米(タイ米)があり、インデカ米は世界の産出量の80%を占めます。この時代、海外の占領地から外米として入っていたことが分かりますが、どのような種類だったかはわかりません。ただ、二回以上蒸さなければならないような米種だったようです。


5.
普通品 (固煉
(かたねり)に非ず)の汲水は1520水程度が便利である。

ここで言う固練とは、麹を混ぜたお米を潰したものでしょう。1520の汲水という表現は麹米に対する水の割合を言っていると思われます。お米は蒸したままのお米に麹を加えます。蒸したままのお米には麹菌が広く伝わるからです。


6.
汲水に食塩や塩化石灰を添加しても特に製品の濃度を増し甘味が加はるとは考へられないが, 味は單調な甘味から旨味に移る事が認められた。但し食塩添加量は15水の仕込で汲水に對し0.102%の間に止めて置く。それ以上は下品かつ不調和の味になる。塩化石灰の添加は石灰分付与の目的には叶うけれど, 多少薬品臭味を与えてしまう。

塩は配給で高価だったのかもしれません。食塩の代わりに塩を含んだ塩化石灰を利用したのでしょう。

甘みを出すためだったのか、うま味が増すことが記されています。

石灰を入れるのはお酒造りにも利用されています。灰持酒(木炭や石灰を入れます。)

戦争の中、甘いものが手に入りずらい世の中で、人々の知恵は甘酒に関心があったようですね。

平和な今、改めて先達から伝えられる甘酒の有難さをかみしめて飲むのも、甘酒が伝える健康の意味でもあるかも知れません。


甘酒あままに乾杯!!