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2021/03/07 11:38
かって九州に行ってお酒を注文したら焼酎が出されたという話がありました。
現代では九州でも日本酒の酒蔵があり日本酒も出すことが出来るのですが、それまでは焼酎が支流でした。
それは日本酒との製造工程に、その違いが隠されています。
日本酒では寒仕込みという生酛造りが必要でした。昔は冬至酛と言って冬至という寒い日に一気に酒母・醪というアルコールを発生させる過程に寒さが必要とされたのです。
例えば神戸地方の灘では、六甲山から身を切るような北風(六甲おろし)が入るように酒蔵には北窓を用意して日本酒の仕込みにその寒さを利用したのです。
気温が下がらない九州では雑菌に汚染されやすく、清酒造りには適していませんでした。
現代では冷房設備もそろい九州でも酒蔵が日本酒を製造していますが、温暖な九州ではそれまでは蔵元は焼酎を製造していました。
焼酎酵母は高温に強いことと蒸留することで高温の発酵でも酒質への影響は少なかったのです。
クエン酸酸性と高アルコール成分をもつ焼酎酵母は高温の中で醪成分を増殖しアルコール発酵が強く香味成分をよく生成する性質があるので九州には適していたのでしょう。
その焼酎に合う食べ物も工夫されています。
時代を積んで今でも名を馳せる焼酎は九州産です。
麹菌の中でも黒麹菌で作った米麹で仕込み単式蒸留器で蒸留したものが泡盛ですが、この焼酎造りの流れが九州に入ったと言われています。
いつの時代でも全国各地、お酒造りには人々は知恵を絞っていたのですね。
それにしても発酵文化のすばらしさには感心してしまいます。
