2020/07/30 11:54



お酒造りには、納豆は厳禁です。朝、納豆を食べた人は酒蔵に入れません。

納豆菌は強力で、その胞子が酒蔵に入り米麹に移るとスベリ菌と呼ばれるべとべとした納豆のような麹になってしまい、使い物にならなくなってしまうのです。

強力な納豆菌に対して、米麹菌はデリケートなのです。


このような禁忌は酒蔵の職人だけでなく、酒蔵見学のお客様にもお願いしている事ですが、

納豆、漬物、ヨーグルト、果物等などを食べないでほしいというお願いの張り紙を見た方も多いと思います。

それぞれ発酵食物独特の菌を持っているからです。


納豆菌には枯草菌という菌が含まれています。この菌が混入すると、酒造りに必要な麹が死に、酒造りが出来なくなってしまうのです。
ナットウキナーゼというたんぱく質分解酵素は良く知られていると思いますが、納豆それ自身では発酵食品として人間に貢献しているのですが、米麹菌には天敵です。

次にヨーグルトですが、火落ち菌という乳酸菌で作るため、酒造りには大敵となります。

酒造りでは、もろみが出来て瓶詰めする前に60度の火入れをします。これは火落ち菌を除去するためです。これが失敗すると、火落ち菌はアルコールにも強いため酸化発酵してしまいます。

漬物も乳酸菌で作られます。

なお、ミカンなどの柑橘系の果実には果実の裏側に青カビ菌が生育しているので、これも大敵です。


昔の人は、これら有効な菌などがそのままでは競合することを知っていました。

昔から街は水利の便の良いところにつくられ、いつも手を洗って次の仕事の作業をしていました。

これは、今日のようなインフルエンザ対策ではなく、例えばぬか漬けにつけた手を綺麗にして、次の作業に移るためでした。

お酒造りの苦労は、このような他の細菌対策だけでなく製造工程にも細心の注意を払って仕事をしています。

このように、お酒を造る人は目に見えない敵といつも戦っているのです。




食事にこだわり美味しいお酒を造ろうという酒蔵の偉大さを感じます。

かやま酒蔵で造られた純米発泡濁酒かやま(スパークリングかやま)を是非お試しください。